チマヨベストの工房を訪ねて

サンタフェから北へ約45km、タオスからは南へ約80km。サンタフェとタオスを結ぶ旧道「ハイロード・トゥ・タオス」の途中にチマヨの村はある。

68号線からタオスの山々を望む
タオスからは68号線を走ってチマヨに向かった

チマヨに行った一番の目的は、チマヨ織りの工房を訪ねるためだった。チマヨ織りは16~17世紀にスペイン人入植者によって持ち込まれた100%ウールの手織物。「チマヨベスト」なんかは日本でもアメカジ界隈で人気がある。かっこいい。

チマヨ織りの織元、オルテガ家の工房
チマヨ織りの織元、オルテガ家の工房

中でも代表的なのが「オルテガ」。ショップを兼ねた工房には、ベストやラグがずらりと並んでいた。

ただ、思えば私はそれほどアメカジフリークではない。好きは好きなんだけど、チマヨベストを着回せるようなワードローブじゃないので、結果的にはウィンドウショッピングで終わった。

オルテガのチマヨベストといえば、日本では6~10万円ぐらいが相場。工房価格がいくらだったか覚えていないのだけど、おそらく日本で買うよりはかなりお安く手に入っただろう。なによりバリエーションが豊富で素敵だった。着こなせないとしても、せめて1枚ぐらい買えばよかったと今になって思う。飾るだけでもかっこいいしなあ。

オルテガと並ぶ代表格「センチネラ」の工房も近くにあると聞いていたのだけど、結局見つけられず訪ねるに至らなかった。これまた残念。

病を癒す奇跡の土

オルテガのほど近く、車で3分ぐらい南に下ったところに「エル・サントゥアリオ・デ・チマヨ」がある。1816年頃に完成したアドビ造りのカトリック教会だ。

エル・サントゥアリオ・デ・チマヨ
エル・サントゥアリオ・デ・チマヨ

この教会がこんなにも素朴なのは、村人たち自身の手によって造られた私設の礼拝堂だから。その信心の具現のような荒々しさには、なんだかゾクッとくるものがあった。周辺にまったく人けがなかったのも、畏怖を高めるのに一役買っていたと思う。

ここは年間30万人が訪れる巡礼地でもある。病を治すという「奇跡の土」の言い伝えがあるのだ。

祭壇の隣の小部屋に、その土はあった。身体の悪い部分に擦り込むと、病や苦痛が癒されるという話だ。訪問者は土を持ち帰ることもできる。そのための小さな容器も販売されていた。

私も一応パラパラと頭にふりかけてみたりしたが、持ち帰るのは控えておいた。教徒でもないし、なんか申し訳ないかなと。いや、広く開かれた教会ではあるのだけどね。

年代不明の礼拝堂

エル・サントゥアリオ・デ・チマヨのすぐそばに「サント・ニーニョ・デ・アトーチャ礼拝堂」がある。

サント・ニーニョ・デ・アトーチャ礼拝堂
サント・ニーニョ・デ・アトーチャ礼拝堂

扉が閉まっていたので中には入れなかったのだが、その外観に思わず目を奪われた。こんなことを言うのは不謹慎なのかもしれないけれど、とにかくビジュアルがツボだった。

まず入口の両脇の寂しげなジュニパーがいい。ふと、ゴッホの星月夜がよぎる。

正面の装飾もいい。多彩色なのにセピアのフィルターをかけたみたいに調和している。いかにも手描きの花模様も優しい。帆立貝のモチーフは「巡礼」の象徴なのだとか。

サント・ニーニョ・デ・アトーチャ礼拝堂の素朴な装飾
サント・ニーニョ・デ・アトーチャ礼拝堂の素朴な装飾

建立は1857年らしいのだけど、正面の装飾は2000年前後に大きく改修されたという話もあって、実際のところいつ頃今みたいな見た目になったのかは分からない。なんとも不思議で、素敵な礼拝堂だった。

巡礼者を見守り続けてきた店

これまたすぐそばに、1921年から続く小さな土産屋「ポトレロ・トレーディング・ポスト」がある。左手の赤い給油機が店の歴史を感じさせてくれる。

エル・ポトレロ・トレーディング・ポスト
ポトレロ・トレーディング・ポスト

創業時は店主の名前を取った「ビヒル(Vigil)・ストア」という店名だったそうで、正面の壁にも「VIGIL STORE」の文字が残っている。1948と刻まれているのは、おそらく建て替えた時期なのじゃないかと思う。

チリの名産地らしく、リストラ(干し唐辛子の束)が軒先にぶら下がっていた。訪れたのがちょうど唐辛子の収穫期にあたる9月末(2013年)だったので、リストラの赤もまだ鮮やか。

店内にも地元産のチリがいくつか並んでいた。チリ好きなら迷わず買っていたと思うのだけど、悲しいかな辛いものが苦手で。本当にことごとく猫に小判、私にチマヨだった。

ポトレロ・トレーディング・ポストの店内
さすがに巡礼地、さまざまなクロスもずらりと

チリ料理の老舗レストラン

辛いのは苦手だけど、せっかくだから名物を食べたいぞ、ということで老舗レストラン「ランチョ・デ・チマヨ」を訪ねた。オルテガとエル・サントゥアリオ・デ・チマヨのちょうど中間ぐらいにある。

秋らしく飾られたランチョ・デ・チマヨ
秋らしく飾られたランチョ・デ・チマヨ

創業は1965年。2016年には、料理界のアカデミー賞とも呼ばれる「ジェームズ・ビアード賞」も受けている。

予約もしていなかったが、運良くパティオ席に通してもらえた。

ランチョ・デ・チマヨのパティオ席
ランチョ・デ・チマヨのパティオ席

メニューを見てもよく分からず、おすすめを聞いたらこれがでてきた。たぶん「コンビナシオン・ピカンテ」。ニューメキシコ料理の盛り合わせだ。

ランチョ・デ・チマヨのコンビナシオン・ピカンテ
コンビナシオン・ピカンテ(たしか20数ドル)

レッドとグリーンの2種類のチリを添えてくれていた。さすがに辛いのだけど、うまみもしっかり感じられたと思う。なにより初めて食べたエンチラーダ(トルティーヤにチーズをかけて焼いたもの)が美味しかった。

ちょっとハマって、その後アルバカーキのオールドタウンでも食べたりした。

アルバカーキのオールドタウンで食べたエンチラーダ
アルバカーキのオールドタウンで食べたエンチラーダ

しかしこうしてニューメキシコ旅の写真を振り返っていて気づいたのだが、食事の写真がいつもなぜか粗い。まったく映えない。美しく撮ろうという気概を感じない。ぜんぶ美味しかったのに。悔しい。

さて、次回はかのマンハッタン計画遂行の地、ロスアラモス訪問記をまとめてみようかな。

\ アルバカーキからレンタカーを借りるなら /

海外レンタカーの比較検索ならDiscoverCars.com

記事内の情報は執筆時点のものです。最新情報は各公式サイトをご確認ください。