世界遺産タオス・プエブロ
サンタフェから北へ115km、車を約1時間半走らせるとタオス・プエブロに着く。
タオス・プエブロは、1000年以上前からプエブロ族の人々が暮らし続けるアドビ(日干しレンガ)造りの集落である。1992年に世界遺産登録されている。

訪れたのは2013年9月30日。集落に近づくと数十台の車列ができていて、入場整理が行われていた。
ほほう、さすがに世界遺産ともなると見学者も多いのだなあ、などと思いつつ最後尾につけたが、実はちょうど「サン・ジェロニモ祭」の当日だったのだ。
サン・ジェロニモ祭についてはGeminiさんにまとめてもらおう(折りたたみで)。
サン・ジェロニモ祭(San Geronimo Feast Day)は、毎年9月30日にタオス・プエブロで開催される、守護聖人聖ジェロニモ(聖ヒエロニムス)を称える最も重要な伝統行事です。
カトリックの信仰と先住民の伝統文化が融合した祭りで、秋の実りに感謝を捧げる以下の儀式やイベントが行われます。
- ポール・クライミング(柱登り): 広場に立てられた約15メートルの巨大な丸太(ポール)に、顔を白く塗ったクラウン(道化師/コシャリ)たちが果物や収穫物の入った袋を目指して登る伝統的なクライミング。
- 伝統舞踊・フットレース: 早朝の聖なる足走り(フットレース)や、色鮮やかな衣装を纏ったサンセット・ダンスなどの奉納演舞。
- オープンハウス: 普段は非公開の集落内部が解放され、アドビ窯(オルノ)で焼かれた伝統的なパンや焼き料理、手芸品などの露店が並びます。
※部族の神聖な宗教行事であるため、祭りの当日は観光客による写真・動画撮影やスケッチが一切禁止される厳格なルールが存在します。
すごい偶然。たまたま伝統的な祭に居合わせることになるとは。
村に入ると、伝統衣装を着た男たちが雄叫びをあげながら駆け回っていた。これがいわゆるフットレースというやつだったのだろう。
サンタフェの歴史紹介サイトにまさにそのフットレースの写真が載っていたので、気になる方はチェックしてみてください。(https://historyinsantafe.com/taos-pueblo-feast-day/)
アドビ建築の住居群の真ん中にたしか広場のようなものがあったのだと思うのだけど、見物人でにぎにぎしていたせいで、どこに何があるのか位置関係がよく掴めなかった。祭りの意味も流れも、何が何やらさっぱり。
そんなだからフットレースが祭りのメインイベントだと思い込んで、「いいもの見たぞ」とすっかり満足してしまった。その後ポールクライミングが行われるとも知らず、ぶらぶらと露店を眺めて小一時間で立ち去ってしまった。何か工芸品を買ったような気もするが、それもよく覚えていない。
写真に残っていないとここまで記憶はおぼろげになるのだなあ。今つくづく思い知っている。普段、あらゆる記録をデジタルに頼っているせいで、脳が記憶にリソースを割かなくなっているのかもしれない。
ちなみにジョージア・オキーフもタオスを描いている。こうして絵にすれば、記憶にもありありと定着するのだろうなあ。スケッチブックでも買おうかしら。

しかし貴重な機会だったのかもしれないが、本音を言えば普段の村の景色をじっくりを見学してみたかったなとも思う。それなら写真も撮れたのだ。もってるんだか、もってないんだか。
入植者の町タオス・プラザ
プエブロから南へ5分ほどのところにタオス・プラザがある。200年以上前にスペインからの入植者が作った町だ。

スペインらしからぬアドビ建築の街並みである。当時建築資材が限られていたのであろうことや、結局この土壁が乾燥した気候に最適だったのであろうことが想像できる。

プラザの一角に大きく描かれているのは、「サントス(聖人像)」を作る職人。
実際、工芸品を扱うショップやギャラリーが点在していて、かわいらしい町だった。


とにかくニューメキシコの陽射しが厳しくて、肌がヒリヒリしていたところだったから、ほのかにプエブロの伝統衣装を想起させる鮮やかなストールを買ったりなどした。

実際にはメイド・イン・タオスでも何でもないアパレル製品なのだけど。かわいかったので。

このクロスも当時投稿したSNSに「タオスで買った」と書いていたからたぶんそうなのだけど、チマヨで買ったような気もしなくもない。写真に残っていても、結局記憶はあいまい。

そう、この後チマヨにも立ち寄ったのだ。それは次回にまとめよう。
原点を尊ぶタオスの選択
しかしなんというか、1000年以上同じ場所で、同じスタイルで生活を紡ぐというのは途方もないことだと思う。
タオス・プエブロの人口は推定2000~2500人。多くは周辺の町などで近代的な暮らしをしていて、集落内に住み続けているのは150人ぐらいだと言われている。つまり彼らは選択しているわけだ。伝統を。
文明の侵襲への危機感のようなものは、現代人の多くがうっすら抱えている共通の不穏じゃないだろうか。だからこそ彼らの選択は興味深い。
すぐ近くに町があるわけで、よもや生活まるごと古代のままというわけじゃないだろう。それでもやっぱり気高い選択だと思う。ひたすら道義的だと思う。若者の都市部流出や観光地としての立ち回りなど、いろいろ課題もあるのだろうけどね。
と、小さな虫一匹でも家に入ってきたら「ギャ」となる程度に現代人な私などはそう思ったりした。この家と外の境界感覚、邪魔だよなあつくづく。
うん、やっぱり年に一度のお祭りに居合わせることができて、ラッキーだったな。よかった。

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