私、20代からアラフィフになるまで、けっこう一人旅をしてきた方だと思う。
「どうしてもあの場所のあの景色を見てみたい!」というのが旅のモチベの9割ぐらいを占めていて、そういう個人的な情熱に周囲を付き合わせるわけにもいかず、半ば必然的に一人旅になりがちだったりする。
たとえば、大好きな画家ジョージア・オキーフが晩年過ごしたゴースト・ランチ(ニューメキシコ州)に行ってみたいとか、ついでにマンハッタン計画の主要拠点だった陸の孤島・ロスアラモスに行ってみたいとか、Windowsのスクリーンセーバーのランダム画像か何かで目にしたシップロック(アリゾナ州)を実際に見てみたいとかとか(アメリカばっかり)。

そんなこんなで、モーテルからモーテルへ転々とする類のロードトリップなどもけっこうやった。
よく「大丈夫? 女性の一人旅って危なくない?」と心配してもらうのだけど、実は危険らしい危険に遭ったことは一度もない(中指立てられる程度のゴリゴリの差別はされたことあるけど)。
荷物の延着で沁みた底抜けの笑顔
そういえば、ロストバゲッジみたいなのもない。一度だけ、スーツケースが後続の便に積載されちゃった、というのがあったぐらい。
このときは、ロサンゼルスで国内線に乗り換えてニューメキシコのアルバカーキに行くという旅程だった。たしかお昼12時過ぎぐらいにロサンゼルスに着いて、トランジットの手続きがなんだかんだあって、アルバカーキに到着したのが夕焼けぐらいの時間帯だったと思う。
ちなみに日本からの時差は15時間。ほぼ昼夜逆転。その日は空港近くのモーテルをおさえていたので、とりあえずとっととレンタカーを借りて、とっとと宿に直行したかった。にも関わらず、スーツケースがいつまで経っても出てこない。で、カウンターに問い合わせたら、「荷物だけ別の便で後から来るよ」という話だったのだ。
あげく「後からって、いつ?」「夜」っつー話だったので、なけなしの英語力を総動員して、「じゃあ先にホテル行くから、荷物着いたら届けてください」ということで話をつけた。たぶん、必死の形相が言語の壁を超えたのだと思う。言ってみるもんだなあ、などとほくほくしたりもしたけど、もしかすると最初から「別便に載っけちゃった荷物は客のホテルに届ける」決まりだったのかもしれない。

夜も更けて、無事モーテルに荷物が届いた。眠すぎて意識飛びかけの中、フロントのお兄さんの「荷物届いたよー! よかったねー!」という底抜けの明るさに癒された。やっぱり笑顔って尊い。アメリカのこういうとこが、なんだかんだで好きなのだよなあ。
私の態度がデカいからかもしれない
そんなこんなで、20年ぐらい延べ15〜20回一人旅をした中で、ハプニングらしいハプニングといえばこの1回ぐらい。わりとへんぴな場所に行きがちだけど、危険な目に遭ったことは一度もない。
でも、だからといって「女性の一人旅は普遍的に安全だ」と言ってしまうのは、ちょっと無責任だろうとも思う。
というのも私、わりと強めの見た目をしている。165cm中肉中背で、とくに顔面の圧が強い。若い頃はよく「元ヤン?」と言われたりなどもした(態度がでかかっただけ説もある)。
今まで電車で痴漢に遭ったことも1回しかない。いや、少ないのか多いのかはよく知らんけど。小柄でおとなしそうな人が狙われやすいとかいう話も聞くし。その点、少なくともそれには当てはまらない姿形をしている。
だからもしかすると条件的に被害に遭いにくいのかもしれないし、たまたま運よく被害に遭わなかっただけかもしれない。あと、スリ大国のヨーロッパに行ったことないのも大きいかもしれない。実際のところはよく分からないのだけど、ともあれ、自分が被害に遭っていないことを根拠に「女性のみなさん、一人旅は安全ですよ」とはなかなか言えない。
女性ひとり旅で気をつけていること
とはいえ、一応私なりに気をつけていることもあったりするのだ。ちょっとリストにしてみたりしよう。
おしゃれしすぎない
一応、あまり目立つ格好はしないようにしている。動きやすさも兼ねて、Tシャツにパンツにパーカー、ぐらいのイメージ。
現地の人の服装を見て、ちょっと寄せたりもする。なのでわりと現地で服をかいがち。とにかく「観光客じゃないですよー」という顔をして、とりあえず何かしらのターゲットにならないよう意識をしている。
あ、でもNYなどの都会では、おしゃれな人も多いので私もおしゃれしてみたりする。結局TPOってことになるのか。

荷物は最小限にする
観光客っぽさをできるだけ排除したいという意味では、荷物もできれば少なめにしておきたい。私はいつも、国内ならリュック一つ、海外ならモンベルの60Lのソフトキャリーと機内持ち込み用リュックサックにすべての荷物が収まるようにがんばる。
一応、おみやげ分の余白も確保しておくのだけど、だいたい収まりきらなくなるので、よくあるおみやげ用バッグも入れておく。だいたいおみやげは大量に買いがち。大型の本とかを買ったりしがち。海外の本の装丁っておしゃれで、インテリアにもなるし。

財布に見えない財布を使う
普段使っている財布はもう家に置いておく。で、財布っぽくない財布に運転免許証と最低限のカード類などを移し替え、現地のお金をギュッと押し込む。旅先では終始「これは財布じゃないよ」という顔で、フェイクをかまし通す。そうすればなんか狙われにくいかなと。小さいと物理的に取られにくそうという気もするし。
ちなみに私は、アウトドアブランドのカードケースっぽい財布を愛用している。
堂々とする
背筋を伸ばして堂々とする。キョロキョロしないようにする。どこであれ「浮かれてませんよ」という雰囲気に努める。
あとアメリカ圏では、いつもよりにこやかにするように心がけていたりもする。なぜって、みんなにこやかだから(例外もあるけど)。ただ、不必要にニコニコするとむしろ怪しげに見えたり卑屈に見えたりしそうなので、適度なラインを意識する。
具体的には、目が合えばニコっと笑って小さく「Hi」と挨拶するとか、ありがとうをちゃんと言うとか。「Have a nice day.」と言われたら「You, too.」と返すとか。
アメリカの人はわりとよく話しかけてくるから、「そんなネイティブのスピード感で話されても聞き取れるわけないだろ」という時には「Sorry, I’m not good at English.(ごめんよ、英語が苦手でさ)」と申し訳なさげに言うと、聞き取れなくても気まずくならない(と思う)。
主にはそんなところか。書いてみて思ったけど、なんかけっこう顔芸かもしれない。あと「それなりに空気読む」ってのが大事なのかもしれない。空気読むためにはまず観察が必要な気もするので、結局のところ「周りをよく見る」のが肝要なのかもしれない。いや、肝要かどうかはわからないけど。あくまで個人的な心がけなので。
でも実際、ゲストハウスなんかに泊まると、一人旅の女性とよく出会う。実感としては、本当に多いように思う。
なのでもし、やってみたいな、という方がおられたら、心配しすぎず、でもちゃんと警戒もしつつ、えいっと踏み出してみるといいかもしれない。応援しております。

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